108回の太陽礼拝
12月の追加のお知らせです。2019年を締めくくる最後として「108回の太陽礼拝」を
12/29(日)に大阪北浜のスタジオで開催します。太陽礼拝とは12のアーサナ(ポーズ)を、
1つのシークエンス(流れ)として行う動きのことで、太陽礼拝は基本のシークエンスとして、
大抵どのヨガクラスでもレッスンの前半に取り入れられているものだと思いますので、
みなさんもよくご存知のことかと思います。でも太陽礼拝のこの12のポーズやシークエンス
に込められた意味や歴史などを知っている方は少ないのではないでしょうか。そして何故、
年末に108回の太陽礼拝を行うのか、その意味や歴史について簡単に説明したいと思います。
まず、太陽礼拝の歴史について少し触れていきますが、太陽礼拝はサンスクリット語で
”スーリヤナマスカーラ" 英語では “Sun Salutation”と言われ、1910年頃に西インドの
アウンド藩王国の藩王によって、原型が考案されました。この藩王は、父王より太陽礼拝を
教えられ、イギリス植民地からのインド独立の後も、外交官として活躍しながら書籍も
後に著し、太陽礼拝の普及に尽力しました。太陽礼拝が誕生してしばらくの当時のインド
では、ヨーガは出家修行者の禁欲的な精神修行法と認識されており、一般人が行うものとは
思われていませんでした。しかし、同時期にリシケシでヨガの普及に貢献した医師の
シヴァナンダ師なども太陽礼拝をヨガに取り入れ、普及させていきました。
太陽礼拝はヨガの歴史の中では、比較的歴史の浅いものでありますが、現代ヨーガの父と
いわれるクリシュナヤチャリア師によって、現在の太陽礼拝のスタイルに最終的に
まとめられたといわれています。
インドで太陽(スーリヤ)とは神の1つと言われています。その太陽に挨拶(ナマスカーラ)を
する、太陽礼拝を行うことは、一日の始まりに太陽に挨拶し、その恵みに感謝し、そして
太陽・自然・宇宙からのエネルギーを貰い、またそれら全てに感謝の祈りを捧げるという
意味を持っています。太陽礼拝の ”太陽" は、万物に恵みをもたらす象徴としての ”神様” と
して、そして太陽礼拝はヨガの12のポーズの集合体であると同時に祈りの儀式としての
神聖な要素も持ち合わせているのです。12のポーズは、太陽が通り道である黄道を12ヶ月
かけて1周することに由来するともされており、これらの12のポーズは天体を回っている
太陽の通り道である、横道十二宮を表しています。12のポーズに合わせて唱えられる
マントラもあり、これは太陽の持つ12の名前と性質を示しています。インドのアシュラム
では日の出の前から日が昇りきるまでの間、太陽礼拝をしながらマントラを唱え、祈りを
捧げて、毎日太陽に感謝と敬意を示しています。
太陽礼拝のように、決まった一連のポーズを呼吸に連動させながら連続的に行うことで、
自然と自分自身に集中することができ、心が静かになっていきます。いつも忙しくストレスに
さらされている日々の生活の中で、例え10分でもある一つのことに無心で集中することで、
雑念や心のざわつきなどががリセットされます。太陽礼拝のような一連の同じ動きの
繰り返しは意識が散漫しにくく、呼吸に意識を向けやすくなることで自然と瞑想状態に入る
ことが出来ると思います。細かい体の変化や、呼吸音の違いなど、普段の生活では見落として
しまうような、ちょっとした自身の変化に気づけるのです。そして太陽礼拝を毎日繰り返す
ことによって、同じことを毎日繰り返し行っても、毎回微妙に何かしらの違いがあるという
気付きを感じられ、深みが増していくような感覚が得られるのではないでしょうか。
フィジカル的には、太陽礼拝の12のポーズは前屈や後屈、身体を伸ばすという動作の
繰り返しになるので、太陽礼拝を行うことによって、全身をバランスよく動かせるため、
徐々に身体全体が柔らかくなっていくことを感じると思います。
では、年末になぜ108回の太陽礼拝を行うのかというと、これには諸説ありますが、
仏教では煩悩を滅し功徳を得るために、108の念仏を唱えるといわれています。人間には、
根本煩悩と言われる ”貪、瞋、痴、慢、疑、見” の煩悩を柱として、これに派生する
108つの煩悩があるといわれており、この煩悩によって心身が乱され、智慧が妨げられて
しまうという考えで、その浄化のために除夜の鐘を108回打つように、太陽礼拝にも1つの
礼拝ごとに煩悩を1つずつ浄化していくというような意味があるそうです。
そしてインド哲学において、9という数字は神聖な数とされており、9は完全な数字として
神を表す数字とされており、サンスクリット語で9はnavaなのですが、これと同じ単語が
新しいという意味でも使われます。これは、9によって物事が一巡りし、新しくなるという
概念が表わされているのですが、この9の倍数の108も、とても神聖な数字として考えられて
おり、108を1マーラーという1つの単位として扱っており、神様に捧げるマントラを唱える際
にもこの単位が使われています。そして、サンスクリット文字は全部で54文字なのですが、
この文字に対して、男性性・女性性 / シヴァ・シャクティがあるという考えがあり、この54の
数字を2倍すると108になるのです。他にも、インドの聖典ウパニシャッドは108であったりと
インドでは108は特別な数字とされています。
今回のこの108回の太陽礼拝ですが、108回を全て行なうとなるとヨガ経験者でも、
少なくとも2時間弱はかかります。普段ヨガを練習していてる方でも、やはり108回と
なると運動量が多く、決して簡単なことではないかと思います。なので体力のない方は
続けてではなく、こまめに休憩を挟みながら何セットかに分けて、自分のペースでやって
いただければと思います。太陽礼拝を108回していく途中で、苦しくなることもあるかと
思います。途中でいろんな想いが浮かんだり、中には過去や未来を思ったりする瞬間が
あるかもしれません。瞑想と同じで、色々な感情が浮かんでは消えていくのは、自然なこと
だと思います。でもきっと108回のその過程の中でそういった雑念を経て、自然と自分自身に
集中することができて、心が静かになる瞬間がくると思います。普段なかなか自分自身と
向き合う時間がない方も、2019年の締めくくりに108回の太陽礼拝にチャレンジして、
自身の心身を浄化するような、自分自身と向き合う穏やかな時間を作ってみましょう。
12/29に一緒に、去りゆく1年を思い返しながら、静かに自身と向き合ってみませんか。
参加費はドネーションになります。スタジオの場所や詳細は予約フォームにて確認を
お願いします。
Ashoka
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